元幼のICT化ってどうなってるの? ~後編 保護者向け連絡アプリの実践編

園のこと。

元総社幼稚園が進めるICT化。後編では、保育の現場で使われている保護者向け連絡アプリについて、現場の先生にインタビューしました。その使い勝手やメリットなど、先生の声を紹介していきます。

先生に質問!

答えてくれた先生
A先生  年中組担任1年目  40歳代
B先生  年少組担任2年目  20歳代

ーー園のICT化をどう思われましたか?

A先生 特に保育業界はアナログな職場だというイメージですし、私もこれまでお便りや書類も手書きで仕事をしてきましたが、この園に来てクラスに1台、タブレットが常に手元にあって、連絡帳やお便り機能が全部そこに入っていて、こんなにスマートにICT化が進んでいるんだ、とビックリしました。
B先生 私も以前、別の幼稚園に勤めていた経験があるのですが、そこでは手作業の仕事がほとんどでしたので先進的になった感じで(笑)驚きました。でもタブレットの操作自体は、自分のスマホで慣れていたので、すぐ適応することができました。

ーー保護者向け連絡アプリはどのようなものですか?

B先生 アプリの機能として「連絡帳」「個別連絡」「フォト」「園からのお知らせ」「カレンダー」などの項目があります。「フォト」は園から毎週金曜日に「フォト配信」として配信するお便りの機能です。お便りはクラスごとに配信して、編集もこのアプリ上で行っています。
A先生 「連絡帳」では、毎朝、保護者の方が出欠席の連絡やお迎えの時間、ちょっと気にかかることなど連絡事項を記入して送信してくれます。確認したら「確認しました」の返信を送ります。「今朝はちょっと食欲がありませんでした」など心配なことの連絡が来たら、登園してきた子の顔色などを実際に確認して対応します。

ーーどんなところにメリットを感じていますか?

A先生 週1回の「フォト通信」のために日頃の活動をタブレットで写真に撮ったりしていますが、それを見返すと子どもたちの成長が目に見えてわかります。例えば、最初の頃は同じ友達としか遊んでいなかったのがやがて交友関係が広がる子や積木で遊んでいて最初は平面的なものしか作れなかったのが、だんだん立体的に作れるようになる子がいます。写真を見返すと「ああ、成長しているな」と分かるんです。今まで頭の中の記憶だったものが、保育の記録となって残りますね。他の先生とも写真を共有して成長を喜びあったりしています。
B先生 私もそうです。あと、保護者との連絡で言えば、目の前にいる子どもが例えばちょっとけがをした、具合が悪そうだ、といったときにお子さんの様子を見ながらその場で連絡できるのがいいですね。今の保護者さんはお仕事をされている方も多いので、連絡アプリで連絡しておけば保護者さんも空いた時間でみてもらえます。
A先生 保護者向けだけでなく、ヒヤリハットの情報など先生同士の情報共有も教室や廊下にいながらでもすぐ確認できるので便利ですね。

ーー反対に、使っていて大変なことはありますか?

A先生 特に大変なことはないですが、子どもたちがとっても良い表情をしたとき、「あ、いま写真に撮りたかったな。親御さんに見せてあげたいな」と悔しい思いをすることは多々あります(笑)。
B先生 そうですね。特に粘土や砂場で一緒に遊んでいて自分の手が汚れている時など、すぐにシャッターが押せなくて残念です(笑)。
A先生 操作については、私はパソコン関係は得意ではないのですが、周りの先生方に教えてもらって何とか使えているので、誰でも使いこなせると思います(笑)。

ーー保護者の方とのコミュニケーションが取れていると感じますか?

B先生 「フォト配信」には、「いいね」ボタンやコメントを書く欄もありますので、レスポンスがあると嬉しいです。普段使っているSNS感覚で気軽に見てもらえたら、園にも親しみを感じてもらえるのかなと思います。
A先生 普段個人で使っているメッセージアプリと同じような感覚なので、「いま」「いつも」保護者さんと繋がっているという安心感みたいなものがありますね。中には先生方ともっと話したい、という保護者さんもいらっしゃるので、個別連絡を取ったり、お迎えで会った時など心がけてコミュニケーションを取るようにしています。

ーー保育の時間にタブレットを活用することはありますか?

B先生 このあいだ動物の絵本を見ていた子どもに「この動物は何を食べるの?」と聞かれたので、その場でタブレットで調べて画像を見ながら話したりしました。
A先生 私は、調べものと言ったら図鑑、という習慣になっていて……まだタブレットで調べたことはないですね。
B先生 他の先生の話だと、子どもが捕まえてきた虫をタブレットで調べて、載っていた写真と紙の図鑑の絵を見比べながら絵を描いたりしたそうです。

ーーITのスキルは必要でしょうか?

B先生 今の学生さんならスマホやタブレットを使いこなしていると思うので、そのスキルがあれば大丈夫です。

ーーあらためて、ICT化でよかったことは何ですか?

B先生 子どもたちをよりじっくり、見られるようになったということですね。時間的にも精神的にも。成長を記録として見返すことができるので自分の保育の振り返りにも役立ちます。
A先生 私もそうですね。200人以上の子どもたちをお預かりしていると、朝、欠席の電話連絡でバタバタしたり、何百冊もの連絡帳を確認して管理する負担もかなり大きいものです。そこがスマートになった分、子どもたちと深く向かい合えていると思います。

(おわりに)
いかがでしたでしょうか。おもに、保護者向け連絡アプリについて先生にお聞きしてみました。園内では、職員間のグループウエアも整備され、勤務シフトや伝達事項など速やかに伝達できる仕組みが整備されています。ストレスなくスムーズな業務の効率化で余裕を持って子どもたちと向き合える体制が作られているのですね。

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